保守王国として知られる群馬県で、外国人犯罪の急増に対応するため「自警団」が結成され、大きな波紋を広げている。地元自治体は活動費を補助するなど本格的な支援を行っているが、一部の国会議員は関東大震災時の自警団による事件を引き合いに出して批判。地元住民の間でも戸惑いの声が上がっており、その背景と社会的な影響に注目が集まっている。
北関東で際立つ外国人犯罪の実態
群馬県では近年、窃盗被害が著しく増加している。県警の発表によると、2024年の空き家を狙った窃盗被害は前年比48.3%増の1009件に達し、深刻な状況だ。特に目立つのは外国人による犯罪で、中でもベトナム人によるものが急増している。
群馬県警は2025年1月、群馬と近隣4県を中心に2023年9月から約1年間で発生したベトナム人男女3人による空き家荒らし事件において、被害約420件、被害総額約2800万円に上ったと発表した。さらに2025年9月には、群馬県内のスーパー2店舗から銘柄米などを盗んだとして、警視庁がベトナム人の男3人を窃盗容疑で再逮捕。捜査関係者によれば、彼らはレジを通さずに商品を店外に持ち出す様子が防犯カメラに映っており、4月から5月にかけても群馬を中心に数十店舗のスーパーを回っていたことが判明しており、余罪についても捜査が進められている。
歴史的背景と外国人住民の増加
群馬県は古くから製造業が盛んであり、多くの外国人労働者を受け入れてきた歴史を持つ。県の東南部にある大泉町は、人口の約2割をブラジル人が占めることで知られていた。しかし近年、県内で急増しているのがベトナム人住民だ。
県内の外国籍住民数(2023年12月時点)によると、ベトナム国籍の住民が長年1位だったブラジルを抜いて初めて最多となった。群馬県全体の外国籍住民も7万人を超え、県人口の約4%を占める過去最多を更新している。この人口構成の変化が、地域社会に新たな課題をもたらしている側面もある。
地域住民の懸念と防犯意識の高まり
高崎市に住む会社員の太田昌治さん(48歳、仮名)は、2020年にコロナ禍を避けて家族で都心から移住したが、年々外国人が増えていることを肌で感じているという。「近所のコンビニ店員も、見た目では国籍は分かりませんが、ほとんどが東南アジア系ですね。県内のスーパー、温泉地、ホテルなどあらゆる場所で東南アジア系の外国人が増えてきているなと感じます」と太田さんは語る。
太田さんは昨年、トヨタの人気SUV車を購入したが、先日ディーラーの担当者から高崎駅周辺で同じ車種の盗難が発生しているため注意するよう連絡があったという。そのディーラーの他の顧客でも盗難被害に遭った人が数人いるとのことだ。この出来事を受け、「電話があって慌ててハンドルロックを買いました。最近特に物騒になっている気はしますね」と、太田さんは地域における治安への懸念を募らせている。
高崎市による自警団への活動費補助に関する写真
市が支援する「自警団」とその波紋
高崎市は、こうした治安悪化への対策として、自警団の活動を積極的に支援している。市は自警団1団体あたりに対し、初期費用として10万円、そして活動費として1カ月あたり19万円を補助している。これにより、自警団はより組織的かつ継続的な活動が可能となっている。
しかし、この自警団の結成と公的支援に対しては、批判の声も上がっている。ある国会議員は、関東大震災時に自警団によって引き起こされた事件を例に出し、その危険性を指摘。地元住民からも「自警団の活動は必要なのか」「かえって混乱を招かないか」といった戸惑いの声が聞かれるなど、その存在意義や活動のあり方について、様々な意見が交錯している。
結論
群馬県で急増する外国人犯罪と、それに対応する形で結成された「自警団」は、地域の安全保障と多文化共生という二つの側面から、日本社会が直面する複雑な課題を浮き彫りにしている。高崎市が自警団を支援する一方で、歴史的経緯からの批判や住民の懸念も存在し、その是非を巡る議論は続いている。犯罪の抑止と地域社会の調和をいかに両立させるか、群馬県の動向は今後も注目されるだろう。





