全国高等学校ラグビーフットボール選手権大会、通称「花園」は、今年も大きな感動を生み出しました。第105回大会では、神奈川県の桐蔭学園高校が京都成章高校を36対15で下し、史上6校目となる3連覇の偉業を達成。選手が毎年入れ替わる高校年代での連覇は、ブレないウイニングカルチャーの証であり、その卓越したチームプレーは多くのファンを魅了しました。ベスト16以降の試合はどれもレベルが高く、真剣な眼差しで楕円球を追う高校生たちの姿は、観る者の胸を高鳴らせたことでしょう。しかし、この感動の裏側で、高校ラグビー界は深刻な岐路に立たされています。
「予選ゼロ」という深刻な現実:少子化が突きつける地方大会の危機
近年の花園では、大会の根幹を揺るがす特筆すべき事態が複数回発生しています。最も象徴的なのは、「予選なし」での全国大会出場決定です。
今年は、島根県代表の石見智翠館高校が、県内で試合が成立する15人以上の選手を擁するチームが同校だけだったため、予選なしでの出場を決めました。この「予選ゼロ」という事態は、実は今年が初めてではありません。2022年の鳥取県予選では、参加した3校のうち2校が選手不足により棄権し、倉吉東高校が1試合もすることなく花園への切符を手にした経緯があります。
2024年12月30日、尾道―石見智翠館 前半、先制トライを決める石見智翠館・柴崎=花園
地方予選に参加する高校の数も減少の一途をたどっています。今年は山形県、福井県、鳥取県で2校、香川県、高知県、佐賀県で3校、富山県、石川県で4校と、わずか1勝または2勝で代表校が決まる地域が増えました。さらに、予選の決勝戦において大差がつく試合が増加傾向にあり、栃木県(158対7)、千葉県第1地区(113対7)、愛知県第1地区(110対5)では100点以上の差がつき、滋賀県、岡山県、愛媛県でも80点以上の大差が記録されています。これは、各校間の実力差が大きく広がっていることを示唆しており、全国大会でベスト8に残る高校の顔ぶれもここ数年ほとんど変わっていません。
40%減!高校ラグビー競技人口の深刻な減少
これらの問題の根底にあるのは、高校ラグビーにおける競技人口の著しい減少です。2003年には3万419人だった全国高等学校体育連盟(高体連)の加盟人数が、2022年には1万7649人となり、実に40%以上も減少しています。この同時期、サッカーやバスケットボールの競技人口はほぼ横ばいで推移しており、ラグビーだけが特に激減している状況が浮き彫りになっています。
花園の未来と抜本的改革の必要性
元ラグビー日本代表で成城大学教授の平尾剛さんは、少子化が加速する現在、高校スポーツ、特にラグビー界は「抜本的な改革」を避けられないと警鐘を鳴らしています。このままでは、代表校なしの都道府県が出てくるのも時間の問題であり、現行の「各都道府県が代表を決めてトーナメントで日本一を競う」という花園のあり方を根本から考え直す時期に来ていると提言しています。
高校ラグビー界は今、まさしく岐路に立たされており、第105回を迎えた花園の伝統を守り、次世代へと繋いでいくためには、ドラスティックな改革が不可欠です。平尾氏の指摘するように、競技人口の減少という避けられない現実に対し、どのような新たな大会方式や育成システムを構築していくのか、議論を深める必要があります。





