中国証券市場の外資開放をにらみ、証券大手が中国事業の強化に動いている。このうち野村ホールディングス(HD)は2020年、新たに2都市への出店を計画している。少子高齢化や異業種参入で国内の競争環境が厳しさを増す中、各社は中国に新たな成長の機会を求めている。
野村HDは11月、上海で、過半出資する合弁証券会社「野村東方国際証券有限公司」を開業した。来年には、北京と深●(=土へんに川)に店舗を開く。富裕層向けビジネスから始め、今後3年程度で機関投資家向けビジネスや投資銀行業務にも乗り出す計画だ。
同社の永井浩二グループCEO(最高経営責任者)は今月上旬の機関投資家向け説明会で「アジアを中心とした富裕層は逃すことができない。中国での戦略を確実に進める」と述べていた。
大和証券グループ本社は来年中の合弁証券会社開業を目指す。中田誠司社長は26日までに、産経新聞のインタビューに応じ「中国市場はリスクを挙げたら切りがないが、ポテンシャルを挙げても切りがない。外資という特性を生かしたビジネスを展開していきたい」と語った。国境をまたぐM&A(企業の合併・買収)の助言や、株式・債券の売買仲介業務などを検討している。
またSMBC日興証券は26日、北京に駐在員事務所を来年4月1日付で開くと発表。主に金融規制に関する情報収集を行う。清水喜彦社長はインタビューで「富裕層向けの資産運用・管理サービスなどを検討している」と語った。
中国では20年12月に外資による証券会社への100%出資が可能になる。欧米勢では、米JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックス、スイスのUBSも本格進出を目指している。(米沢文)