【経営トップが予想~五輪後の日本経済】経団連の中西宏明会長 「成長の継続、安定性は変わらず」





インタビューに応じる経団連の中西宏明会長

 --東京五輪パラリンピックを控え、今年の景気の見通しは

 「海外の不確実性は高まる。昨年と同様に予想外の出来事が次から次へと起こり、先は読みにくい。ただ、日本の経済成長率そのものは高くないが、成長が継続しているという安定性は今年も変わらない」

 --令和2年春季労使交渉に向けた、経営側のスタンスは

 「一番重要なことは、賃上げのモメンタム(勢い)を維持することだ。日本経済の空白とされた期間に日本の賃金水準は先進国の中で劣後し、優秀な人材が海外企業に流出しかねないことも事実だ。ただ、従来のような賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)や定期昇給の議論、経団連が(ベアなどの)数字を出すことに意味はない。日本経済が国際的に競争力を発揮するためには、技術(スキル)や意欲のある人たちが活躍できる環境をどうつくれるかだ」

 --具体的には

 「個人のやる気(エンゲージメント)や挑戦を後押しする処遇、働き方改革が必要だ。品質の高いものを大量に世界に輸出していた高度成長の時代に機能していた、新卒一括採用や年功型賃金、終身雇用など日本型雇用の見直しも必要だ。ただ、新卒一括採用などは学生の受け止めなどいろいろな影響があり、一気には変わらないことは認識している。粘り強く問題提起し、雇用全体の見直しを進めることが大事だ」

 --デジタル技術による課題解決社会の実現を優先課題に掲げる

 「デジタル技術をどう活用して日本経済の競争力をつけるかの横断的な会議をスタートした。新たなルール作り、制度改革の方向性を積極的に打ち出していく。業界の垣根や産業構造が崩れることにもためらわない方向で自由闊(かっ)達(たつ)に議論しているが、実際の構造変革の動きは個々の企業の経営判断で、経団連としてどこまで踏み込めるかは悩ましい」

 「オープンイノベーションの時代なので、まずは、スタートアップ(創業間もない企業)と協業を探るイベントをスタートした。今後は、特定の国の課題を見える化し、デジタル技術で課題を解決する事業機会を探り、具体的な事例につなげていきたい」

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