【ワシントン=住井亨介】年末年始で休会していた米議会上院が3日に開会し、トランプ米大統領のウクライナ疑惑をめぐる弾劾裁判の手続きに関し、与党・共和党と野党・民主党の攻防が再開された。両党の上院トップの主張はすれ違い、裁判日程は不透明な状況が続いている。
民主党は、トランプ氏を弾劾訴追した下院の調査で証言が実現しなかったボルトン前大統領補佐官やマルバニー大統領首席補佐官代行ら、政権中枢を知る4人の証言を弾劾裁判で求めている。これに対して上院多数派の共和党は、トランプ氏への不利な証言を警戒して裁判の早期終結を狙う。
民主党上院トップ、シューマー院内総務は3日の本会議で、「なぜ上院で証人を呼ばないのか。共和党の指導者は正当な理由を示していない」と追及。対ウクライナ軍事支援の凍結が「トランプ氏の直接の指示」だったとする当局者のメールについて伝えた一部報道を取り上げ、証言の必要性を訴えた。
民主党は下院で可決した弾劾訴追決議の上院送付を留保し、共和党に譲歩を求めている。検察官役となる下院議員の任命もしておらず、上院での弾劾裁判が開けない状態となっている。
共和党上院トップのマコネル院内総務は、3日の本会議で民主党の手法を「政治的な先延ばし」と非難。「民主党の番は終わった。上院が冷静な判決を下す番だ」と一歩も引かない姿勢を示した。
一方、米紙ワシントン・ポスト(電子版)は3日、複数の民主党関係者の話として、下院民主党が弾劾訴追決議を「数日中」に上院へ送付する方針だと報道。民主党のペロシ下院議長は決議送付が近いことをほのめかすためか、3日の声明で「全ての上院議員は今や大統領か憲法か、どちらに忠誠を誓うかの選択に直面している」と強調した。