フジテレビの月9ドラマ枠に、「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」が1年半ぶりに帰ってくる。「ひょっとしたら続編があるのでは、との思いを持っていた。今回もファンの期待に応えられるものを作りたい」と主演の意気込みを語る。
あらゆるビッグデータから予測された犯罪を未然に防ぐ特命集団、通称“ミハン”の活躍を描く刑事ドラマ。沢村は元公安のエリートで、ミハンのリーダー・井沢範人を演じる。
井沢は妻と娘を無残に殺された過去を抱え、犯罪を未然に防ぎたいという思いを人一倍強く持つ。「緩急をつけた演技をしないと、暗いだけの話になってしまう。闇に引っ張られそうになるところを、仲間たちのキャラクターに助けられている」。前作に続き、横山裕(関ジャニ∞)、本田翼らとのチームワークの良さもうかがわせる。
今作は、大規模なテロが今まさに起きようとしている場面から始まる。何者かによって渋谷、新宿、霞ケ関など複数の場所に爆発物が仕掛けられ、官邸からは非常事態宣言が出る。特殊急襲部隊(SAT)や爆発物処理班が出動する中、ミハンのメンバーらも捜査に参加する。
「東京五輪・パラリンピックを控えている日本にとって、テロ対策は無縁でいられないテーマ。時代性、リアリティーがあって引き込まれますよね」
日々のニュースでも、防犯カメラの分析による犯人検挙、ビッグデータの活用などを耳にする。「SFみたいに感じていた言葉が、実感を伴ったものになっている。現実が、ミハンに追いついてきているような感覚に陥ります」
見どころになっているのが、本格的なアクションシーンだ。「僕はもともとアクション映画が大好き」と明かし、「前作では『あの映画のこのシーンの、ああいうアクションがやりたい』と伝えたところ、アクション指導の方たちがイメージを上回る殺陣を作ってくれた。楽しんで演じられた」。よりよいアクションのために心がけていることを尋ねると、「けがをしないように気をつけること。もう52歳なので」とおどけてみせる。
「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」はキラキラした恋愛ドラマの代名詞だった“月9”が、骨太なドラマの場として再び支持されるきっかけをつくった作品。経験を重ねたベテランだからこその演技を、楽しみにしたい。 (文化部 石井那納子)
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さわむら・いっき 昭和42年、鹿児島県生まれ。ファッションモデルとして活躍後、平成8年、ドラマ「続・星の金貨」に出演。12年からは2時間ドラマ「浅見光彦シリーズ」で主役を務め、21年に連続ドラマ化された。映画「遺体~明日への十日間~」「劇場版 おっさんずラブ~LOVE or DEAD~」など出演多数。「サラリーマンNEO」(NHK)などバラエティー番組でも抜群のコメディーセンスを発揮。短編ドラマの監督、絵本作家としての顔も持つ。