保釈中にレバノンへ逃亡した日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(65)の入管難民法違反(不正出国)事件で、東京地検が、弁護団が保管していたゴーン被告の旅券(パスポート)3通を同容疑での令状に基づいて差し押さえたことが5日、関係者への取材で分かった。地検の任意提出の要請に対し、弁護団は本人の承諾が必要として提出を保留していた。
ゴーン被告はフランス2通、レバノン、ブラジル各1通のパスポート計4通を所持。保釈条件で渡航が禁止され、全旅券を弁護団が保管するよう義務付けられたため、当初は4通とも預けていたが、昨年5月に弁護団の要請で、フランスのパスポート1通を鍵付きケースに入れて携帯することが許可された。
ゴーン被告はこのパスポートを所持したまま逃亡、レバノンへの入国時に使用したとみられる。残る3通は弁護団が保管していた。
弁護団の弘中惇一郎弁護士は4日、ゴーン被告が使用していたパソコンやパスポートなどを任意で提出するよう地検から要請されたと説明。パソコンについては、「弁護団で検討して問題がなければ応じる」としたが、パスポートは「本人の意思確認をしなければ渡せない」と述べていた。
弘中氏は、レバノンにいるゴーン被告の弁護人とは週明けにも連絡を取るとしていたが、地検は、弁護側の確認作業を待たずに強制的な差し押さえに踏み切った。