日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(65)が会社法違反(特別背任)罪で起訴された事件に絡み、昨年4月に東京地裁で行われた証人尋問で虚偽の証言をした疑いが強まったとして、東京地検特捜部は7日、偽証容疑でゴーン被告の妻、キャロル・ナハス容疑者(53)の逮捕状を取った。事件関係者との接触を否定した証言について虚偽の証言をした疑いがあるという。
キャロル容疑者は保釈中に逃亡したゴーン被告とともにレバノンに滞在しているとみられ、実際に逮捕できるかどうかは不透明な状況。特捜部は、ゴーン被告と同様、国際刑事警察機構(ICPO)を通じ、「国際逮捕手配書」でレバノン政府にキャロル容疑者の身柄の引き渡しを求める。
特捜部は昨年4月4日、オマーンの日産販売代理店、スハイル・バハワン自動車(SBA)に日産資金を不正に支出したとされるオマーン・ルートの特別背任事件で、ゴーン被告を逮捕した後、キャロル容疑者に任意聴取を求めたが、拒否してフランスに出国。このため特捜部は、出頭や供述を拒んだ参考人を強制的に呼び出す初公判前の証人尋問を東京地裁に申請。キャロル容疑者は4月11日に東京地裁に出廷した。
逮捕状の容疑は、この際、事件関係者であるSBAの経理担当幹部と多数回にわたりメッセージのやり取りを繰り返すなどしていたにもかかわらず、「その人物を知らない」「メッセージのやり取りをしたかどうか記憶にない」などと虚偽の供述をしたとしている。
特捜部は、オマーン・ルートの事件化を懸念したゴーン被告の指示で、キャロル容疑者が口裏合わせなどのためにSBA幹部とメッセージのやり取りを繰り返していたとみている。
ゴーン被告はオマーン・ルートの特別背任罪で昨年4月22日に起訴され、25日に保釈されたが、昨年12月29日に不正出国し、トルコ経由でレバノンに入った。
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■偽証罪 法廷で偽りの証言をしないとの宣誓書を読み上げ、署名押印した証人が虚偽の陳述をした場合に成立する。法定刑は3月以上10年以下の懲役。被告本人が虚偽証言をしても罪に問われないが、判決に影響することがある。議院証言法に基づき国会での虚偽証言にも適用される。受託収賄罪などに問われた鈴木宗男元衆院議員は、平成14年に衆院予算委員会の証人喚問で偽証したとして有罪が確定した。