欧州、米イランに対話要求 部隊再配置も





イラク中西部アンバル州にあるアサド空軍基地の空撮写真=2019年12月29日(AP=共同)

 【パリ=三井美奈】イランによるイラクの米軍駐留基地攻撃を受け、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は8日、声明を出し、米、イラン双方に報復の応酬をやめ、外交解決を探るよう訴えた。「武器の使用をやめ、対話を始めるべきだ」と述べた。

 フォンデアライエン氏は「緊張緩和のため、われわれには長い時間をかけて培った関係がある」として、EUが双方の仲介役を担う用意があると表明した。EUは10日、緊急外相理事会で、イラン危機への一致した対応を探る。

 米、イランが対立する中、EUは「イラン核合意の維持」と「外交による緊張緩和」を訴えてきた。EUを離脱する英国も、フランス、ドイツと歩調を合わせている。

 仏大統領府は7日、マクロン大統領がイランのロウハニ大統領と電話会談し、事態悪化を招くような行為を自制し、核合意を順守するよう求めたと発表。ジョンソン英首相は7日、トルコのエルドアン大統領との電話会談で、核合意維持の立場を確認し、メルケル独首相は、トランプ米大統領と電話で会談した。

 一方、イラン危機の高まりで、米国とともにイラクに部隊を派遣する同盟国は、部隊撤収や再配置を進めている。

 北大西洋条約機構(NATO)報道官は7日、「警戒措置」として、イラク軍の訓練支援を行っているNATO部隊を移動させると表明。ドイツ政府はイラク北部に駐留する120人のうち、約30人をヨルダンやクウェートに再配置し、カナダは500人の駐留部隊の一部をクウェートに移動させる方針を明らかにしていた。

 イランによるイラクの米軍基地攻撃後、米軍とともにイラク軍の支援を行っているオーストラリア、ドイツ、ノルウェー、デンマークはそれぞれ、駐留部隊に「負傷者はいない」と発表した。

 イラン危機ではポンペオ米国務長官が3日、米FOXニュースで「欧州はわれわれが期待するような助けになっていない」と批判し、米欧の溝が浮き彫りになっていた。



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