【北京=三塚聖平】イランがイラク国内の米軍駐留基地を攻撃したことについて、中国国営新華社通信は8日午前、イランが「報復行為」に踏み切ったと速報した。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)も「イランが米国への武力使用を正式に始めた」と伝えるなど大きく報じている。
米国とイランの対立が深まる中で、中国はロシアとともにイラン支持の姿勢を示す。中国、ロシア、イランは12月下旬にオマーン湾などで初の合同軍事演習を行うなど、対米牽制(けんせい)を念頭に協力関係を深めている。
中国外務省の耿爽(こう・そう)報道官は6日の記者会見で「米国の冒険的な軍事行為は国際関係の基本準則に違反し、地域情勢を激しく動揺させている」と米側の対応を非難。核合意で制限されてきたウラン濃縮活動を無制限で行うとイランが表明したことについても、「イランは外部要因によって仕方なく約束の実行を減らしたものの、同時に抑制的な態度を見せた」とイランをかばう姿勢を見せた。
一方で、中国が中東情勢に対して仲介役などの積極的な役割を演じる可能性は現時点では低いとみられる。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは「中東は中国の外交上の優先事項ではなく、中国には他の国の問題に干渉しないという方針がある」として、中国は双方に対して事態を沈静化するよう求めるといった抑制的な対応にとどめるという中国外交関係者の見通しを伝えた。