【相模原45人殺傷初公判】異例づくめの裁判 消え入りそうな声で謝罪も…





平成31年9月に横浜拘置支所で接見取材に応じる植松聖被告(イラスト・勝山展年)

 障害者が狙われ、19人もの死者を出した凄惨(せいさん)な事件から約3年半。殺人罪などで起訴された元職員、植松聖被告(29)の裁判員裁判は8日、異例ずくめで始まった。被害者の名前は伏せられ、遺族らに割り当てた傍聴席はついたてで遮蔽。被告自身は起訴内容を認めた後、暴れ出して法廷内は一時騒然となった。

 「皆さまに深くおわびいたします」

 腰辺りまで伸びた髪を後ろで束ね、証言台の前に立った植松聖被告。罪状認否の後、消え入りそうな声で謝罪した途端、急に口のあたりに手を持っていき、うめき声を上げ始めた。周りにいた刑務官が制止しようとしたが、植松被告は激しく暴れ、床に倒れた状態で取り押さえられた。

 職員は傍聴人に「退廷してください」と大声を上げ、騒然とする法廷。午前11時25分ごろ、始まった公判はわずか約15分で休廷。午後に再開された公判には、植松被告の姿はなかった。

 公判の主な争点は刑事責任能力の有無だ。

 弁護側の冒頭陳述によると、植松被告は平成24年にやまゆり園で勤務を始めた当初は障害者に関し「こうしたら喜んでくれる」「かわいい」などと話していたが、一方で多いときで1日に数回、大麻を使うようになったという。事件前に大麻精神病などの診断も得ており、弁護側は事件当時は本来の植松被告ではなかったと主張。「薬物使用による精神障害が犯行に影響を与えた」と訴えた。

 一方、検察側は「完全なる責任能力があった」と断言。鑑定留置では人格障害の一つである「自己愛性パーソナリティー障害」と診断されたが「犯行は被告の特異な考えに基づき行われたもので、大麻使用の影響は大きくない」と述べた。

 これまで産経新聞の接見取材に複数回応じてきた植松被告は、精神障害ではないと強調していた。弁護側の主張については「(弁護士の)先生の優しさだと思う」と説明。取材時も「世の中の役に立つ仕事をした」「意思疎通の図れない人は死ぬべきだ」と差別的な発言を繰り返した。公判では被害者遺族らによる意見陳述も予定されるが、被告が法廷でどのように事件を語るのか注目される。



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