韓国映画「パラサイト 半地下の家族」はカンヌ国際映画祭で最高賞「パルム・ドール」や米ゴールデングローブ賞外国語映画賞に輝き、世界中で注目されている作品だ。日本でも全国公開を前に昨年末から、一部の映画館で先行公開されたほど話題が沸騰。来日したポン・ジュノ監督に作品について聞いた。(水沼啓子)
「日本や韓国に限らず、全世界で二極化、貧富の格差という問題を抱えている。私たちは資本主義という巨大なシステムの中に生きており、貧富の格差は私たちの時代のテーマだ」。ポン・ジュノ監督が断言する。
意表を突かれる形で物語が次々と展開していくが、「この映画では富める者と貧しい者に、善悪を当てはめるような描き方をしていない。明確な悪党や善人が出てこないので、見た人からはストーリー展開を予測するのが難しかったという話を聞いた」という。
作品では、人を見分けるのに“匂い”が一つのキーワードになっている。「貧しい人が豊かな人に、匂いが嗅げるほどに接近するのはめったにない状況。映画の中で(IT企業の経営者で金持ちの)パク社長は、『線を越えるな』とよく話しているが、匂いは線を越えていくものだ」と、作品のクライマックスを暗示した。