日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(65)=会社法違反(特別背任)などの罪で起訴=が保釈中にレバノンへ出国した“大脱走劇”は年末年始の世界の話題をさらった。8日に記者会見したゴーン被告は大半の日本メディアを閉め出し、日本の司法や日産に対する批判を一方的に展開。身の潔白を国際世論に訴えようとしたようだが、その言動には厳しい見方も広がっている。
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□フランス ルモンド
■日本は危機感乏しいのでは
フランスのメディアは、日本から逃亡したゴーン被告に対し、厳しい目を向けた。一昨年の東京地検による逮捕時は日本の司法制度への批判が強かったが、受け止めは一転した。
ゴーン被告が8日にレバノンで行った記者会見について、保守系紙フィガロは9日付社説で「現代のモンテクリスト伯が世界中を沸かせた」と評した。策略によって収監された主人公が脱獄し、復讐(ふくしゅう)を果たす19世紀の仏小説になぞらえた。世界的な経営者だったゴーン被告が突然逮捕され、監視をかいくぐって外国に逃れるという劇的な展開は「もはや経済記事ではなく、冒険小説」と驚きを示した。
そのうえで、「ゴーン被告は日本政府や東京地検、日産自動車による陰謀で自分が犠牲になったと示そうとした。しかし、彼が名誉を取り戻せるのは、正式な裁判だけだ」と締めくくり、法による裁きを求めた。