政府税制調査会(首相の諮問機関)は10日、新体制となって初めての会合を首相官邸で開き、会長には委員の互選で中里実東大教授が再任された。少子高齢化や経済のデジタル化など社会の変化に対応した税制にするため、委員の任期となる令和5年1月9日まで議論を続け、税制改正の方向性を示す中期答申をまとめる。
会合では冒頭、安倍晋三首相が「経済成長の実現と財政健全化の達成を両立させるため、あるべき税制の具現化に向けて議論を進めてもらいたい」と述べ、政府税調の果たす役割に期待を示した。
中里会長は平成25年に会長に就任しており今回で3期目。会合後の記者会見で、「経済社会の変化をふまえて中長期的な税制のありかたを議論したい」と抱負を述べた。
ただ、世の中の急速な変化を念頭に、具体的な税目には言及せず、「社会の動き、国民の考えにできるだけアンテナをはり、柔軟に対応することが重要だ」と指摘するにとどめた。最終的な中期答申を出すだけでなく、任期の途中でも税目ごとに政府税調としての考えを示す方針だ。
政府税調は中長期の視点で税制を議論するのが役割。実際の税制改正を決める与党税調も政府税調の議論は参考にしている。
政府税調は昨年9月に働き方の多様化に対応した税制への見直しなどを柱とした中期答申を取りまとめた。新体制の委員は計45人。税制だけでなく幅広い分野の有識者が選ばれており、大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストや、全国消費生活相談員協会の増田悦子理事長など14人が新たに委員に任命された。