米制裁、イラン経済に打撃 「巨額の資金を遮断する」





集会で演説するトランプ大統領=9日、米中西部オハイオ州トレド(AP)

 【ワシントン=塩原永久】イランの経済は、米国の制裁措置の打撃で、大きく落ち込んでいる。トランプ米政権は、すでにイランの重要な輸出品である原油を主な標的とした経済制裁を発動。10日に表明した新たな制裁は、鉱工業品や繊維製品の輸出を封じるもので、低迷するイラン経済には一段の重しとなる。

 世界銀行が8日発表した最新の経済統計によると、イランの2019年の実質経済成長率はマイナス8・7%だった。米国の制裁が響き、18年のマイナス4・9%からさらに減速する。

 世銀は、主に原油輸出を対象とした発動済みの米制裁の影響が「いくらか減衰していく」とみている。それでも、20年も0%成長にとどまると予測している。

 米政府の発表によると、新たに制裁対象となる17団体には、イランで最大級の鉄鋼製造業者も含まれた。

 米商務省の統計では、イランは近年、鉄鋼の輸出を急増させており、18年の輸出は約42億ドル(約4600億円)相当と前年比53%増えた。米政府は新たな制裁措置で、「体制を支える巨額の資金を遮断する」(ムニューシン米財務長官)ことを狙う。

 一方、一般国民の生活にも悪影響を及ぼす経済制裁を多用することに、懸念の声もある。米政府は、イランが挑発行動をやめて「普通の国」(ポンペオ米国務長官)となるよう制裁圧力を強めているとする。だが、イラン指導層が反発するだけで、「制裁が効いているようにみえない」(米コロンビア大学のネフュー氏)との批判もある。



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