【台北=田中靖人】11日の台湾の総統選で再選された蔡英文(さい・えいぶん)総統は12日、台北の総統府で、日米の代表と相次いで会談し、今後も日米など「価値観の近い国々」との連携を強化していく意向を示した。
蔡氏は12日午前、米国の対台湾窓口機関、米国在台協会(AIT)のクリステンセン台北事務所長(駐台大使に相当)と会談。「選挙を通じ、台湾人は民主的な価値を世界に示した」とし、民主主義と自由は米台関係を「長期的に安定させる基礎だ」と述べた。
蔡氏は「協力を通じて防衛能力を強化し続けたい」とも語り、米側にさらなる武器の売却や軍事技術の供与を要請。米台関係は「地球規模の協力関係にまで格上げされている」と述べ、国際的な課題でも米国と協力していく考えを示した。
蔡氏はその後、日本の対台湾窓口機関、日本台湾交流協会の大橋光夫会長と会談し、対中政策について「屈服せず、挑発せず、暴走しないとの原則で台湾海峡の安定維持に尽力してきた」と理解を求めた。蔡氏は「日本は外交と観光の上で非常に重要な盟友だ」として、昨年の日本人観光客が200万人を超し過去最高となったことを評価しつつ、日台関係は「段階を上げることができる」と強化を求めた。
蔡氏は11日投開票の総統選で、過去最多の817万票で再選を果たした。与党・民主進歩党は立法委員(国会議員)選でも単独過半数を維持し、蔡氏は5月20日からの2期目も安定した政権基盤を得た。