日産自動車が前会長、カルロス・ゴーン被告の事件を受けたコーポレートガバナンス(企業統治)改革の一環として、顧問や相談役を廃止する方向で検討していることが15日、分かった。経営の透明性を確保する狙い。前社長の西川(さいかわ)広人氏は2月に取締役からも外れる予定で、退任後、顧問などの名誉職に就いて会社にとどまることは難しくなりそうだ。
日産は顧問や相談役の人数を開示していないが、首脳級幹部の経験者らが務めている。昨年12月に就任した内田誠社長は53歳と若く、年長の顧問や相談役が経営に口を出せば、リーダーシップを発揮しにくい状況になる懸念があった。
日産はゴーン被告逮捕後、問題があった企業統治を見直すため、外部有識者らでつくる「ガバナンス改善特別委員会」を設置。その提言を受け、昨年6月の定時株主総会で、経営の執行と監督の分離を明確にした「指名委員会等設置会社」に移行するなど、企業統治改革を進めてきた。
日産は昨年6月、ゴーン被告の起訴事実の一つである有価証券報告書の虚偽記載に関連し、改善措置を示した報告書を東京証券取引所に提出。近く改めて出す、その後の経緯を含む改善状況報告書の中に、顧問や相談役の廃止が盛り込まれる見通しだ。
東証は日産が長年にわたりゴーン被告の報酬金額を把握できなかったと指摘。「財務諸表を正確に作成するために必要な内部統制システムが適切に運用されていなかった」と問題視している。