【北京=三塚聖平】中国中部の湖北省武漢市当局は15日、発症が相次いでいる新型のウイルス性肺炎について「限定的だが人から人へ感染する可能性は排除できない」との見方を表明した。発表では人から人への感染リスクはやや低く、まだ明確な証拠も発見されていないと説明しており、詳細についてさらに医学的な調査を進める。
発症者の多くは武漢市内の海鮮市場の関係者で、市当局は市場の営業を停止して消毒措置などを進めてきた。この日の発表によると、発症した夫婦2人のうち、先に発症した夫は感染源として疑われる市場の従業員だったが、妻は市場には行っていないと説明しているという。
当局はこれまで、新型のコロナウイルスを確認したとの初期段階の判定を示し、世界保健機関(WHO)も同様の認定を行った。ウイルスが確認された発症者は計41人にのぼり、男性1人の死亡が報告されている。発症者には中高年の男性が多い。高齢者や持病のある人が重症化しやすく、初期症状は発熱や咳(せき)が中心だという。
中国では、多くの人が帰省や旅行をする春節(旧正月)の大型連休が今月下旬に始まる。1月10日から2月18日までの春節特別輸送期間中には延べ約30億人が鉄道や航空機などで移動すると見込まれる。2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)では、春節の帰省ラッシュで感染が全国に広がったため当局も警戒している。