昨秋の消費増税後、中小企業の半数以上で価格への転嫁ができていないことが17日、中小企業家同友会全国協議会(中同協)が昨年実施したアンケートの結果でわかった。
増税分の転嫁について、「全てできた」が43・8%にとどまり、「ほぼできた」、「部分的にできた」、「全くできていない」といった完全な転嫁ができていないという回答が合計で55・3%に達した。
増税後に原材料費が上昇したとの回答が58・9%、経費の上昇も67・2%で、半数以上の中小企業で増税が利益の圧迫につながっている。このため、納付の際に自社の負担や追加の借り入れを検討する企業も合計で31・5%もあった。
複数税率制度については「再検討すべき」が57・3%で、流通・商業では63・7%に達した。令和5年10月に導入される仕入税額控除(インボイス)制度については43・5%が「わからない」とした。
中同協には中小企業経営者約4万7千人が加盟。アンケートは昨年12月に1万6650人を対象に実施し、3425人から回答を得た(回答率20・6%)。
調査を担当した中同協の平田美穂事務局長は「増税に伴う景気対策でキャッシュレス決済の導入が進んでいるが、カード会社への手数料の支払い負担などもあって、資金繰りに苦慮する事業者も多い。中小企業にとっては厳しい状況が見えてきた」と指摘している。