ロッテグループの創業者、重光武雄氏が死去した。晩年は親族の経営権争いから経営の一線から退くなど、その生涯は光と影が交錯したが、ロッテを一代で巨大企業グループに育て上げるなど、日韓両国に大きな足跡を残した。
重光氏は日本統治時代の1921年、現在の韓国南東部、蔚山(ウルサン)の農家に生まれた。日本に渡航したのは42年。戦後に進駐軍が米国から持ち込んだチューインガムを見て、ガムの製造を思いつき、48年にロッテを設立した。
社名は愛読書だったゲーテの「若きウェルテルの悩み」のヒロイン名(シャルロッテ)から命名した。岸信介元首相をはじめ政界の要人とも親交を深めた。
韓国には日韓国交正常化(65年)後の67年に進出。菓子、食品だけでなく、79年にはソウルの中心部にロッテホテルとロッテ百貨店を開業。幅広く事業を展開し、韓国有数の財閥に育て上げた。
日本国内でもロッテは大手菓子メーカーとして子供たちの人気を集めるほか、プロ野球球団「千葉ロッテマリーンズ」をグループに持ち、多くの日本人から愛される。日本のロッテホールディングスは「ご冥福をお祈り致します」とのコメントを発表した。(佐久間修志)