【日本の未来を考える】長期金利低下構造変えよ 学習院大教授・伊藤元重

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伊藤元重・学習院大教授(野村成次撮影)

伊藤元重・学習院大教授(野村成次撮影)

 世界の多くの経済学者が暗い気持ちでみる経済データがある。長期金利のトレンドである。10年物の国債の利回りを想定してほしい。この30年、一貫して下がり続けているのだ。日本、米国、ドイツなど、多くの先進国に共通した動きである。直近では、長期金利がマイナスになるという異常とも思える事態にまでなっている。30年にもわたる流れであるので、循環的な現象とは考えられない。緩和を続ける金融政策の影響と考えるのにも無理がある。より長期構造的な動きによって金利低下が続いているのだ。

 長期金利の低下と軌を一にするかのように、先進工業国の潜在成長率が下がり続けている。その背景には、全要素生産性の伸びが低下しているという事実がある。こうした動きを受けて、secular stagnationと呼ばれる構造的不況論が、世界のあちこちの専門家によって議論されている。先進工業国は構造的な低成長経済になっており、低金利はそれを反映したものであるというのだ。こうした構造の下では、金融政策や財政政策でいくら景気を刺激してもその効果は限定的である。構造的に低成長であるのに、マクロ経済政策でいくらカンフル注射をしても無用な過熱を招くだけであるからだ。

 歴史的に金利が低くなっている中で、株価や不動産価格が高値をつけている状態はあまり気持ちのよいものではない。低金利の影響もあり、米国や中国などでは企業の債務も増えている。日本も米国も労働市場の指標でみれば完全雇用と呼んでもよい状況であるのに金融や財政でさらに経済を刺激しようとしている。物価が上がらないので仕方がないという面はあるが、それで株価や不動産価格がさらに上がることに違和感を覚えるのは私だけではないだろう。

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