リニア中央新幹線工事に伴う大井川の水流減少問題について、川勝平太知事と流域10市町の首長が20日、県庁で一堂に会した初めての意見交換会を開き、国土交通省が17日に県へ提案した第三者の専門家による新しい会議の設置について、県が10市町や専門部会の委員らの意見をまとめた上で同省に速やかに回答することを決めた。また、県が今後も一元的にJR東海との交渉の窓口になることが確認された。
川勝知事は会合の冒頭、(1)大井川の水は一滴たりとも譲れない(2)県がまとめた47項目の課題について、JR東海から納得できる回答があり、地元の同意が得られない限り、工事は認めない(3)リニア建設予定地に通じる唯一の林道の整備が本体工事に優先する-という県の方針を説明し、流域市町の意見を求めた。
その後の意見交換は非公開で行われ、首長から、リニアに関して何が問題なのか分かりづらいので県民や市民に正確に伝える努力をすべき▽不測の事態が起きた時にどう対処するのか-などの意見が出された。
国やJR東海との向き合い方についても議題に上った。JR東海との交渉については、これまで県が窓口となって一元的に対応してきており、これからも同様の対応を取っていくことで一致した。ただ、国からの訪問や面談の打診があった場合は、各市町がそれぞれ個別に判断して対応することにした。
国交省が17日に県に提案した第三者の専門家による新たな会議の設置については、市町側から「中立性に疑問がある」「これまでの県の専門部会による議論が塗り替えられるのではないか」など警戒をにじませる意見が相次いだという。
県はこのような地元の意見を踏まえた上で、県としての方針をまとめて国交省に返答することになった。
意見交換会の終了後、10市町を代表して取材に応じた島田市の染谷絹代市長は「リニアか水かという二項対立にはしない。命の水である大井川の水を今までと同じように、これからも守りたいということだ」と地元の意見を代弁した。さらに「こういった場を設けてもらったことが有意義だった。川勝知事の思いをうかがい、地域の実情を話すことができた」と初会合の意義を語った。