新型肺炎を指定感染症に 企業活動は制限せず 事業継続へ備えは重要


 新型コロナウイルスによる肺炎について、政府が感染症法上の「指定感染症」に指定する見通しとなった。患者の強制入院や就業制限といった法的措置が取れるようになるが、ウイルスの毒性などをふまえ、百貨店や劇場など人が多く集まる施設の使用制限など企業活動を大きく制限する事態にはならない見通しだ。ただ、国内で感染が拡大すれば働ける従業員が大幅に減るなどの影響が及ぶ可能性があり、事業者には早めの対策が求められている。

 指定感染症に指定された場合、政府は毒性や感染力などを総合的に判断して対応を決める。場合によっては、患者が立ち寄った商業施設や公共交通機関の一時的な使用を禁止することも可能だ。また、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「新感染症」と認定すれば、人が接触する機会を減らすため多くの人が集まる施設の使用制限を要請することもできる。

 ただ、こうした措置は国民生活や経済への影響も大きい。今回の新型コロナウイルスの致死率は数%程度とそれほど高くないことから、厚生労働省の担当者は「現段階で企業活動を制限するようなことは考えていない」と話す。

 それでも国内で感染が広がるような事態となれば影響は免れない。MS&ADインターリスク総研の坂井田輝上席コンサルタントによると、多くの社員が休むことで事業が継続できなくなるリスクや、取引先企業の事業が滞り、原材料が仕入れられなくなるリスクなどが生じるという。

 坂井田氏は「いったん感染拡大を始めれば急速に広がり対応が間に合わなくなる可能性もある。最悪の事態を想定し、重要業務の情報共有や在宅勤務の検討、原材料の事前調達など、必要な備えを今のうちにしておくことが重要だ」と話している。



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