スーパーやコンビニエンスストアの店頭に恵方巻きが並ぶ節分を前に、食品ロス削減を訴える企業の取り組みが相次いでいる。大量廃棄で食品ロス削減への関心が高まった恵方巻きのシーズンは取り組みをアピールする絶好の機会。農林水産省も流通業界などに需要に見合った販売を行うよう呼びかけており、ロス削減の機運が高まっている。
「予約数量は昨年と比べ約2倍」。恵方巻きの予約販売に力を入れるイオンリテールの担当者は手応えを語る。今年から予約期間を約2週間前倒しし、早期予約での割引価格も設定。ロス削減につなげる。
電子チラシサービスを展開するワン・コンパスによると、恵方巻きを販売する企業のうち「予約販売を行う」と回答した企業の割合は72・7%。大量廃棄の画像がインターネットで話題になった恵方巻きは食品ロス削減をアピールするツールでもあり、恵方巻き以外の取り組みを強調する事例も目立ってきた。
ファミリーマートは「加盟店がなかなか利益を上げにくい中、食品ロスは大きな課題」(沢田貴司社長)として、バーコード決済アプリを使った恵方巻きの予約を受け付けている。また、1月に入ってレンジで温めるおでん商品や、おにぎりや弁当よりも販売期限が長めのパンの販売強化を相次いで打ち出した。
セブン-イレブン・ジャパンは1月中旬、販売期限が迫ったおにぎりなどを電子マネー「nanaco(ナナコ)」で購入するとボーナスポイントを付与する以前からの試験的取り組みを改めて報道発表。JR東日本グループも恵方巻きシーズンを挟んだ1月中旬から2月中旬に、東京駅改札内のエキナカ施設「グランスタ」で、まだ食べられる食品を駅従業員に販売する実証実験を実施する。