【トランプ弾劾】ウクライナ疑惑で大統領とのやり取り暴露　ボルトン氏が出版予定

　【ワシントン＝黒瀬悦成】米国のボルトン前大統領補佐官（国家安全保障問題担当）が近く出版予定の著作で、ウクライナ疑惑をめぐりトランプ大統領が昨年８月、バイデン前副大統領らの不正疑惑に関する捜査にウクライナ政府が協力するまで同国向けの軍事支援を凍結するとボルトン氏に伝えていた、と明かすことが分かった。米紙ニューヨーク・タイムズ（電子版）が２６日報じた。

　ボルトン氏の指摘が事実とすれば、バイデン氏や同氏の息子に関する捜査要求と、軍事支援の凍結とは関連がないとする上院の弾劾裁判でのトランプ氏の弁護団の主張と矛盾する。

　民主党のシューマー上院院内総務は２６日、報道を受けてツイッターで「ホワイトハウスが大規模な隠蔽（いんぺい）工作を行っている」と訴え、ボルトン氏を弾劾裁判で証人尋問する必要があると強調した。

　弾劾裁判で証人尋問を行うには、上院（定数１００）の過半数の賛成が必要。上院の現有勢力は共和党５３議席、民主党系４７議席で、民主党は今回の報道を受け、証人尋問の実現に向けて共和党議員から少なくとも４人の切り崩しを積極的に進める構えだ。

　また、トランプ氏の弁護団が２７日に行われる２日目の意見陳述で、ボルトン氏の指摘に関し、どう反論するかも注目される。

　ボルトン氏の代理人が米メディアに語ったところによると、著作の原稿は昨年末にホワイトハウスに提出され、機密情報などが含まれていないかなどに関し事前審査を受けていた。代理人は「審査プロセスに間違いが起き、著述内容が不正に流出した」と批判。最終的に出版される著作には、問題の記述が含まれない可能性がある。