米国は映画の賞シーズンまっただ中だ。2月に受賞作が発表されるアカデミー賞に向けて前哨戦の動向があちこちで話題になり、テレビのコマーシャル合戦も繰り広げられている。
家族で見に行った「Little Women」(邦題「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」、3月日本公開予定)もアカデミー作品賞の候補作の一つだ。米女性作家、ルイーザ・メイ・オルコットのベストセラー小説「若草物語」が原作の作品で、これまでに何度もリメークされてきた。ただ、今作も大変好評なのに、鑑賞した映画館では男性客が圧倒的に少なかった。
果たして米紙ワシントン・ポストは、男性の若草物語ファンへエールを送る記事を掲載し、お堅い保守系メディアのワシントン・エグザミナーも「本当のところ、男性だって若草物語が好き」とのタイトルで、男性が鑑賞すべき理由を真面目に論じている。
この時期、多くの米国人がいっぱしの映画評論家となるが、彼らの批評には米国社会の断面が随所に表れていて興味が尽きない。
こんなことを書いてはいるものの、恥ずかしながら私は若草物語をきちんと読んだことがない。妻からは「この一冊から米国の社会や思想が学べる」と諭され、原作に手を伸ばしている次第だ。(住井亨介)