ボルトン氏証言「重要」　トランプ氏弾劾、“暴露本”で喚問論強まる

　【ワシントン＝塩原永久】ウクライナ疑惑をめぐるトランプ米大統領の弾劾裁判は２７日、トランプ氏の弁護団が２日目の意見陳述を行った。

　同氏に不利な疑惑の核心部分をボルトン前大統領補佐官（国家安全保障問題担当）が近著で暴露すると報じられたが、弁護団は「罷免に値する不正はない」と従来の主張を繰り返し、本格的な論戦を避けた。ただ、共和党内からもボルトン氏の証言を求める声が高まっている。

　ボルトン氏は近く出版する書籍で、バイデン前副大統領の疑惑捜査にウクライナ政府が協力するまで、同国向け軍事支援を凍結すると、トランプ氏から伝えられたことを明かすという。米紙が２６日報じた。

　これに対して、共和党のロムニー上院議員は２７日、「ボルトン氏の証言を聞く重要性が一段と明白になった」と指摘。同党のマコウスキー上院議員も、証言が「興味深い」とした。

　共和党指導部は、証人尋問をせず短期間で裁判を終結させる方針だった。だが党内では、トランプ氏と距離を置く穏健派のロムニー氏ら以外にも、民主党が要求するボルトン氏の出廷に理解を示す声が出ている。

　トランプ氏は２７日、記者団に「（ボルトン氏の主張は）虚偽だ」と述べた。

　米メディアによると、ボルトン氏側は、機密情報などに関する事前審査を受けるため、書籍の草稿を昨年末にホワイトハウスに提出したとしているが、トランプ氏は２７日、草稿を「見たことがない」と語った。

　裁判では大統領弁護団から、クリントン元大統領による不倫もみ消し疑惑の捜査を指揮したスター元特別検察官が初めて陳述。スター氏は「戦争と同様、弾劾はまるで地獄だ」と述べ、大統領の対立政党が、弾劾を武器として利用する「弾劾の時代」になったと民主党を非難した。