【ワシントン=塩原永久】新型コロナウイルスによる肺炎の感染者拡大を受け、米国企業で現地店舗の休止や、従業員の中国への渡航停止といった影響が広がっている。航空大手ユナイテッド航空は28日、米国と北京、上海、香港を結ぶ便の一部停止を発表。コーヒー店チェーンのスターバックスが業績に影響が出る懸念があると表明した。米中双方の企業業績に影響を及ぼす懸念が出てきた。
ユナイテッドは中国便の需要が大幅に減ったため、2月1日から8日まで米国と中国3都市間の一部運航を停止する。ロイター通信によると計24便が対象。他の航空大手にも運航停止が広がる可能性がある。
米アップルは28日、米CNBCテレビの取材に、中国に展開する店舗の1店を休業にしたほか、従業員の中国渡航を制限することを明らかにした。
米国務省が27日、中国全土への不急の渡航を控えるよう促す通知を発出。米企業では自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)をはじめ、自主的に従業員の渡航を休止する動きが広がっていたが、米フェイスブックなどが通知に合わせ渡航制限に乗り出した。
米メディアによると、こうした中、スターバックスは28日の業績発表で、2020年度の通期業績に「かなりの影響」が出る恐れがあると発表した。同社は中国に3千店を超す店舗を出店しているが、既に「半数以上」(同社)が閉店に追い込まれている。具体的な業績影響は判明し次第、公表するとしている。
米娯楽大手ディズニーは上海や香港にある大規模リゾート施設を休止。再開に向けて「中国の保健当局や地方政府との緊密な情報交換」(同社)を続けるとしているが、問題収束まで長期化すれば業績懸念が浮上する米企業もありそうだ。