【ワシントン=塩原永久】トランプ米大統領は29日、メキシコ、カナダと作る北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定に署名した。メキシコに続き米国が批准したことで、カナダが批准作業を終えれば発効する。トランプ氏はホワイトハウスでの署名式で「米国内総生産(GDP)を1・2%押し上げると試算される」と述べ、通商政策の成果を誇った。
新協定の名称は「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」。今月中旬までに実施法案が上下両院を通過し、署名のため大統領に送付されていた。
トランプ氏は2016年の大統領選挙戦で、NAFTAが米国に不利な内容となっており、雇用減や産業荒廃を招いたとして協定改定を公約に掲げた。3カ国が厳しい交渉の末、18年11月に新協定に署名。労働者の権利強化などを求めた米民主党と、米政権・共和党による修正協議を経て、3カ国が先月、再署名した。
USMCAは主に米国での生産を増やす狙いから、自動車の関税撤廃基準を厳しくし、高賃金の工場で製造するよう促す新たな規定を設けた。新協定により日本の自動車メーカーは事業環境が見通しやすくなる。
11月の大統領選を控え、トランプ氏は署名式で「ついにNAFTAの悪夢は終わった」と語り、公約を実現させたと自賛した。