実在する女児の裸をコンピューターグラフィックス(CG)で描いたとして児童買春・児童ポルノ禁止法違反罪に問われた岐阜市のデザイン業、高橋証(あかし)被告(59)について、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は被告側の上告を棄却する決定をした。第1小法廷は実在の児童を描写したCGは児童ポルノに当たると職権で判断。確定するのは初めてとみられる。罰金30万円とした2審東京高裁判決が確定する。5裁判官全員一致の結論。
同法は「児童の権利保護と健全育成」を趣旨とし、児童ポルノの対象とされた児童が実在していることが要件とされる。女児の裸を掲載した写真集を素材に加工したCGが「実在の女児」を描いたといえるかが争点だった。
高橋被告側は「創作活動だ」と無罪を主張したが、1審東京地裁は「一般人が写真集などと見比べた場合に、実在の児童を忠実に描写したと認識できるCGや絵画は児童ポルノに当たる」と判断。懲役1年、執行猶予3年、罰金30万円とした。2審は「素材の写真は古く、少女への具体的な権利侵害想定されず、違法性は高くない」として、罰金刑にとどめた。