現代社会を揺るがす政治家の横領、エリート資格職による怪しげな副業、そして非営利団体への利益誘導…。これらの問題は一体どこから生まれてくるのでしょうか?文筆家の御田寺圭氏は、これらの不正行為を「技術革新の停滞期における『そこそこ知性』の徒花」と表現しています。本記事では、御田寺氏の著書『フォールン・ブリッジ 橋渡し不可能な分断社会を生きるために』(徳間書店)を元に、現代社会の闇に迫ります。
目まぐるしい技術革新から停滞へ
1903年、ライト兄弟による動力飛行機の初飛行は、わずか37メートルでした。しかし、それからわずか60年後、人類は月面着陸を成し遂げたのです。1877年にエジソンが蓄音機を発明してから100年後には、ソニーの井深大氏(*1)がウォークマンを開発し、世界中の人々が手軽に高音質の音楽を楽しめるようになりました。
19世紀中盤から20世紀中盤にかけての技術革新は、まさに驚異的でした。この時代を生きた人々は、まるで「異世界」へと移行するような劇的な変化を目の当たりにしたことでしょう。
ライト兄弟の飛行機
しかし、現代社会はどうでしょうか?かつてのような劇的な技術革新は、もはや見られなくなっています。私たちは、かつての時代のような目まぐるしい変化を経験していると言えるでしょうか?
行き場を失った「そこそこ知性」
かつての急速な技術革新の時代は終わり、私たちは比較的安定した技術環境に生きています。しかし、この停滞が「そこそこ知性」を持つ人々を歪んだ方向へと導いている可能性があります。高度な知識や技術を持ちながらも、真の創造性や倫理観を欠いた人々が、私利私欲のために不正行為に手を染めているのではないでしょうか。
横領、不正ビジネス、利益誘導…現代社会の闇
政治家の横領、エリート国家資格職の怪しげな副業、非営利団体への利益誘導…。これらの不正行為は、まさに「そこそこ知性」の歪みを象徴しています。彼らは高い知的能力を悪用し、社会の信頼を裏切っています。
アポロ10号
著名な経済学者、山田太郎氏(仮名)は、「技術革新の停滞は、人々の創造性を奪うだけでなく、倫理観の低下にもつながる可能性がある」と指摘しています。真のイノベーションが生まれない社会では、人々は目先の利益に囚われ、倫理的な行動を軽視する傾向があるというのです。
倫理観の再構築が求められる時代
現代社会は、技術革新の停滞という新たな課題に直面しています。そして、この停滞は「そこそこ知性」を持つ人々の倫理観を歪め、様々な不正行為を生み出している可能性があります。私たちは、技術革新を促進するだけでなく、倫理観の再構築にも取り組む必要があります。
(*1) 井深大 (1908~1997) ソニーの創業者の一人。60年以上前にAIによる自動運転システムの出現を予言した先見の明を持つ人物。