子供たちに読み聞かせや読書の楽しさを伝えるNHK・Eテレの「おはなしのくに」(月曜・午前9時)が、まもなく放送開始30年を迎える。児童書の種類や価値観が多様化し、昔話になじみが薄くなった子供たちにもその魅力、面白さを伝えてきた。今年度は日本の昔話を重点的に放送してきたが、2月からはアンデルセン童話とグリム童話を3本続けて放送する。
「おはなしのくに」は幼稚園・保育所~小学校3年生向けの学校放送番組として、平成2年4月に始まった。語り手がジェスチャーや効果音、照明演出などを交えて、文学作品や民話の語り聞かせを10分間かけて行う番組で、同局の学校放送番組でもっとも長く放送されている。
年明けからは「北風と太陽」(イソップ童話)、「スーホーの白い馬」(モンゴル民話)など世界の昔話シリーズを放送。石川聡子チーフディレクターは「学校現場からは、定番の昔話や名作を知らない子供が増えているという声が寄せられている」と話す。
近年は児童書からのベストセラーも相次いでいる。石川さんは「子供たちが読書に関心を持っていないわけではない」とした上で、児童書の選択肢の増加、家族構成や価値観の変化を背景に、「昔話を楽しんだり、話に込められた寓意をしつけに生かしたりする機会が減っているのではないか」と指摘。「国際化、多様性といわれる今の時代こそ、互いの文化に関心を持ち、理解するきっかけとして昔話をぜひ知ってもらいたい」と話している。
10日(再放送)は、お笑いトリオ「ロバート」の秋山竜次が「はだかの王さま」を演じる。17日は「ブレーメンのおんがくたい」をミュージシャンの浜野謙太が、3月2日は「ヘンゼルとグレーテル」を女優の浜辺美波が演じる。(石井那納子)