架空の商品仕入れ代金の立て替え金として、現金約8億6400万円をだまし取ったとして、大阪府警捜査2課は5日、詐欺容疑で警備会社「東洋テック」(大阪市浪速区)の元幹部、中森克英容疑者(45)=懲戒解雇、堺市北区新堀町=と知人で別の会社役員、仲井孝介容疑者(46)=大阪市西区南堀江=を逮捕した。府警は認否を明らかにしていない。
逮捕容疑は共謀し、平成29年12月~30年1月、製造販売会社に対して、省エネ装置を設置する多額の工事を東洋テックが受注したように装い、「装置の仕入れ代金を払ってほしい。後で上乗せした金を支払う」などともちかけて、4回にわたり計約8億6400万円を詐取したとしている。
同課などによると、中森容疑者は当時、営業開発部の副部長。同社の正規の仕様で、装置を大量に注文する書類を作って信用させた上で、「代金を払ってもらう予定だった商社が急遽(きゅうきょ)取引できなくなった」として、立て替えを依頼したという。府警は金の使途や動機などを調べている。
東洋テックは「会社として取引に関与した事実はない」とコメントしている。