三菱重工業は6日、傘下の三菱航空機(愛知県豊山町)が開発中の国産初のジェット旅客機「スペースジェット(旧MRJ)」に関し、今年半ばを目指していた初号機の納入が、令和3年度以降になると正式に発表した。延期は6度目。相次ぐ延期で、信頼低下は避けられそうにない。
先行開発中の90席級「M90」だけでなく、最大市場の北米で需要がある70席級の「M100」も同じ程度ずれ込む見通し。三菱航空機は同日、水谷久和社長(68)が4月1日付で会長となり、三菱重工の丹羽高興常務執行役員(62)が社長に就く人事を発表。航空機製造に従事した経験のある丹羽氏を加えることで開発をテコ入れする。
三菱航空機は現在、運航に必要な型式証明(TC)を取得するため米国で飛行試験を行っている。ただ昨年6月に予定していた最新試験機の完成は、部品の不具合などで今年1月にずれ込んでいた。三菱重工の泉沢清次社長は、東京都内で開いた記者会見で「ご心配をおかけして大変申し訳ない」と陳謝。新たな納入時期は、最新試験機の初飛行と米国への回航を終えた段階で話すとした。