「北方領土の日」の7日、安倍晋三首相は政府や関係団体などが東京都内で開いた「北方領土返還要求全国大会」で「交渉を一歩一歩着実に前進させていく」と述べ、北方領土問題を含むロシアとの平和条約締結の実現に改めて決意を示した。首相は5月9日の対ドイツ戦勝75年式典に合わせた訪露を検討中で、実現すれば通算28回目となるプーチン大統領と会談に臨む考えだ。
首相は大会で対露交渉について、平和条約締結後に歯舞群島、色丹島を引き渡すと明記した昭和31(1956)年の日ソ共同宣言を基礎とする方針に改めて言及。北方四島を「日本国民とロシア国民の互いの信頼関係、友人関係を増進させ、友好の島にすることが何より重要だ」と強調した。北方四島での共同経済活動に関し「日露双方の法的立場を害することなく、事業化の実現に向けて取り組む」と語った。
会場には「北方四島を返せ」と書かれた旗が例年通り会場に掲揚された。採択された「アピール」では、北方四島について「不法に占拠」されたとの表現が2年連続で使われなかった。ロシアは北方四島の領有権を主張しているため、今後の首脳間交渉に配慮し、見送ったとみられる。