「いばらき大使」不適切執行で茨城県中小企業振興公社を廃止へ


 金銭トラブルが相次ぎ「いばらき大使」を解任された藤原浩氏(55)の問題をめぐり、事業の不適切な執行が発覚した茨城県中小企業振興公社について、大井川和彦知事は7日の記者会見で、公社を廃止し、新たに「いばらき中小企業グローバル推進機構」を4月1日に設立すると発表した。公社は不適切行為を受け、国から補助金返還を求められており、県は公社の解体的な出直しを図る方針だ。

 県産業政策課によると、公社は平成25年度から4年間、国の補助事業「JAPANブランド育成支援事業」の採択を受け、中小企業の海外展開支援を行っていた。この中で公社は、デザイン制作に詳しい藤原氏を参加企業のうち9社に紹介。うち5社の事業執行処理で公社が不適切行為を行っていたことが昨年12月、藤原氏と参加企業のトラブルを通じて判明した。

 公社は、参加企業がデザインを発注する際、2社以上の見積もりが必要にも関わらず1社のみで済ませ、担当職員が後付けで見積もりを依頼したほか、発注したデザインの成果物を参加企業に示さずに完了の確認を得ないまま、完了として国に報告書を提出するなど国の補助金交付要綱に違反する恐れのある事業執行を平成28~29年に行った。

 これを受けて国は今月7日、事業補助金約300万円の返還を公社に請求、補助事業の指名を停止した。

 また、事業完了後の平成29年には参加企業から公社や県販売流通課に藤原氏とのトラブルの相談が寄せられていたにも関わらず、公社役員や同課担当者は事実確認を行わず、国や県に報告していなかった。県は7日付で、公社の専務理事ら4人を減給の懲戒処分とし、県販売流通課の担当職員1人に厳重注意を行った。

 県は、公社廃止後の推進機構では、幹部の民間公募を検討したり、コンプライアンス・人材育成担当の専任職員を配置したりして再発防止に努める。

 大井川知事は会見で「不適切な処理があったことは大変遺憾。公社を解体して出直し、県民の信頼回復を図りたい」と語った。



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