日産自動車は10日、新型コロナウイルスによる肺炎拡大の影響で九州にある完成車工場の稼働を計2日間停止して減産すると明らかにした。中国からの部品供給が滞っているため。新型肺炎の拡大によるサプライチェーン(供給網)の問題で、国内自動車工場が稼働停止を決めたのは初めて。海外では韓国の現代自動車が4日、中国製部品の供給停滞で工場停止を決めている。
日産によると、稼働を一時停止するのは子会社の日産自動車九州(福岡県苅田町)の工場。休業の土曜・日曜をはさんだ14日と17日の生産を止めるという。
同工場では国内向けにミニバン「セレナ」とスポーツ用多目的車(SUV)「エクストレイル」、海外輸出用にSUV「ローグ」「ローグスポーツ」を生産。日産の昨年の国内生産台数(約80万台)のおよそ半分を担った主力工場だ。
日本自動車部品工業会のまとめでは、平成30年の自動車関連部品輸入額のうち中国製は約3割を占めた。自動車には数万点の部品が使われ、「部品が1つないだけでも完成しない」(自動車関係者)ため、中国の生産活動の本格再開が遅れれば、他の自動車メーカーの国内生産にも影響が出る恐れがあり、業績の先行き懸念が強まりそうだ。