【ジュネーブ=板東和正】世界保健機関(WHO)は11日、新型コロナウイルスに関する専門家会合をスイス・ジュネーブのWHO本部で開いた。会合は12日まで。世界各国から約400人の専門家が参加し、ウイルスの発生源について話し合うほか、ワクチンや治療薬を開発する行程表(ロードマップ)の策定に向けた協議を行う。
会合には、ウイルス学や疫学の専門家のほか、製薬会社の関係者らが参加。感染者がいる国で来場が難しい参加者は会場に実際に来ず、電話やインターネットを通じて協議する。
「一つの中国」原則を掲げる中国の妨害でWHOに加盟していない台湾もオンライン参加し、議論に加わる予定。WHOが台湾を排除しているとの国際的な批判を和らげる狙いがあるとみられている。3~8日に開催されたWHO執行理事会で、米国がWHOと台湾の連携を呼び掛け、日本なども台湾のWHO参加に支持を表明していた。
WHOのテドロス事務局長は11日、会合の冒頭で参加者に向けて「最も重要なのは、新型肺炎の発生を止め、命を救うことだ」とした上で「あなたたちの知識、洞察、経験が必要だ」と呼びかけた。
新型肺炎をめぐっては、根本的な治療法が確立しておらず、ワクチンもない。ただ、感染者からウイルスを分離することに成功するなど研究も進みつつある。会合で世界各国の英知が結集することで、治療法やワクチンの開発が前進することが期待されている。