【ワシントン=黒瀬悦成】米大統領選の民主党候補指名に向けた東部ニューハンプシャー州予備選(11日実施)は、初戦の中西部アイオワ州党員集会をほぼ引き分けたインディアナ州のブティジェッジ前サウスベンド市長とサンダース上院議員にとって早くも勝負どころとなった。両氏ともニューハンプシャー州を制して指名争いの流れを早々に引き寄せたい考え。両氏を軸とする「中道穏健派」対「急進左派」の衝突は党内の路線闘争の様相が色濃くなってきている。
ブティジェッジ氏は、アイオワ州での好結果を受けてニューハンプシャー州の支持率が急上昇した。最大の理由は、同州で首位の急進左派、サンダース氏を阻止できる中道穏健派の候補として評価が一気に上昇したことだ。
地元ニューハンプシャー大とCNNテレビが10日発表した、州内の世論調査によると、穏健派や保守派が「好ましい民主党候補」としたのは、1位がブティジェッジ氏で23%。これまで「本選でトランプ氏に勝つ可能性が最も高い」と自負してきたバイデン前副大統領は14%にとどまった。
他の調査でもバイデン氏の支持率はブティジェッジ氏の人気上昇と反比例して低下しており、穏健派の間でバイデン氏離れが進んでいることをうかがわせる。
ただニューハンプシャー州は、隣接するバーモント州選出のサンダース氏が2016年大統領選の指名争いでクリントン元国務長官に得票率60・4%で圧勝した「サンダース王国」。同大とCNNの調査でも、サンダース氏は18~34歳の男女、高卒以下の男女の支持でブティジェッジ氏を大きく上回っている。
ブティジェッジ氏としては、どこまでサンダース氏に肉薄できるかが今後を占うカギとなる。
一方、中道穏健派のクロブシャー上院議員も、ここへきて注目されている。
クロブシャー氏は、7日に行われたニューハンプシャー州での民主党候補者討論会での説得力ある弁舌が評価され、同州の世論調査で3位に浮上した。
ニューハンプシャー大のダンテ・スカラ教授(政治学)は「今回、(同州予備選で)2~4位になる可能性もあるダークホース(穴馬)だ」と指摘している。