令和元年10~12月期の実質国内総生産(GDP)が1年3カ月ぶりのマイナス成長に陥ったのは、消費税増税による個人消費の落ち込みが主因だ。落ち込み幅は想定よりも大きく、消費税の増税が消費マインドに与える打撃の大きさを見せつける結果となった。新型コロナウイルスによる肺炎の拡大で企業活動は打撃を受けており、1~3月期は2四半期連続のマイナス成長になるとの観測もある。
■個人消費が大幅減
「増税前の駆け込み需要は前回(平成26年4月)より小さく、増税後にここまで消費が極端に落ち込むとは、想定できなかった」
第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストはこう指摘する。実質GDPは年率換算で6・3%減と民間シンクタンク12社の事前予測の平均値(同3・7%減)より落ち込んだ。個人消費を示す民間最終消費支出が同11・0%減と大幅に低下したのが原因だ。
増税後に販売が低迷した品目は、自動車や家電といった耐久消費財だけでなく、化粧品、アルコール飲料など幅広い。藤代氏は、いわゆる“老後2千万円問題”で国民の間に節約意識が広がり、消費マインドが弱まっていたところに増税が重なったことで、影響が大きくなったと分析する。
一方、百貨店や外食、旅行業などでは増税後に落ち込んだ売り上げが回復の兆しをみせており、西村康稔経済再生担当相は17日の談話で、「駆け込み需要と反動減は前回ほどではなかった。総じてみれば個人消費のマイナス幅は縮小傾向にある」と評価した。政府内では、増税の影響は徐々に薄れてきているとの見方が広がっていたのも事実だ。
■新型肺炎で打撃続く
そんな期待感に冷や水を浴びせたのが、新型肺炎の拡大だ。感染拡大を防ぐため人の移動が制限され、訪日外国人客の約3割を占める中国人客の減少で関連消費が落ち込んでいる。「世界の工場」である中国の生産停滞で、企業のサプライチェーン(供給網)も深刻な打撃を受けつつある。