ケフィア事業振興会のオーナー制度の会員は60代以上の高齢者が中心で、老後の資産形成のために出資して被害に遭ったケースも目立つ。破産後の資産整理などが進められているが、被害者への返金の見通しは立っていない。
「高配当が魅力的だった」。友人に勧められてオーナーとなった東京都の無職男性(75)は平成27年以降の2年間に計約300万円を出資したが、いまだに返還されないままだ。
男性の場合は、ダイレクトメール(DM)が月に1度届き、そのたびに1口5万円の出資契約を結んだ。干し柿、リンゴジュース、太陽光発電…。出資の名目として紹介される事業はさまざまで、「半年後に5%の配当が入金された。送られてきた商品もしっかりしていたので信じてしまった」と振り返る。
ただ不審な点もあった。男性は約30万円を投じてケフィアの株式も購入したが、株主総会の案内は一度もこなかった。「今思えばおかしいが、当時は気づかなかった。出資は老後の資産づくりの一環だったが、あきらめるしかない」
破産管財人がケフィアグループの資産整理を進めているが、被害者への返金などに充てられる配当総額は約18億円(1月21日時点)。1千億円超の債権額に対し、配当率は2%にも満たず、「被害の回復にはほど遠い」(被害対策弁護団)のが実情だ。