米タリバン和平 交渉の仲介役担ったパキスタン タリバン支援で対印牽制狙う





米国のトランプ大統領と会談するパキスタンのカーン首相=1月21日、スイス・ダボス(ロイター)

 【シンガポール=森浩】米国とアフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンが合意した和平の交渉で、仲介役となったのがタリバンに強い影響力を持つアフガンの隣国パキスタンだ。和平成立後も、アフガンでの親パキスタン勢力を樹立を狙って、タリバン支援を継続するとみられる。

 パキスタンは和平交渉に際し、身柄を拘束していたタリバンのバラダル幹部を2018年10月に釈放。バラダル氏はタリバン内で強い影響力を持ち、解放後は米国との交渉で中心的な役割を担った。

 パキスタンには交渉を支援することで、米国との関係を強化したい意向がある。経済の低迷が深刻で、昨年には国際通貨基金(IMF)からの融資も決まり、米国の援助を期待する。また、インドが昨年8月、北部ジャム・カシミール州の自治権を剥奪したことを受けて、カシミール地方の緊張が継続する中、戦略的にも米国とは近い関係を保ちたい考えだ。

 パキスタンには1979年のソ連のアフガン侵攻以降、300万人以上ともいわれる難民が流入した。難民の子弟がマドラサ(イスラム神学校)で原理主義的な思想を帯び、タリバン創設につながった経緯がある。カーン政権は、アフガンの政治情勢が過度に混乱して大量の難民が押し寄せることは避けたい意向もあり、タリバン支援を通じアフガンの安定化を図りたい考えだ。



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