【ソウル=名村隆寛】1919年に日本の朝鮮半島統治に抵抗して起きた「三・一独立運動」の記念日の1日、韓国のソウルで式典が行われた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は演説で「日本は常に最も近い隣国だ」とした上で、日本に対し「共に危機を克服し、未来志向の協力関係に向け努力しよう」と訴えた。
文氏は、三・一独立運動の精神で韓国がこれまでさまざまな困難を克服してきたと強調。韓国国内で拡散する新型コロナウイルスについて、「ウイルスに打ち勝ち、萎縮した経済を蘇らせることができる」と述べた。
また、「ウイルスの世界的拡散で、国境を越えた協力の必要性を改めて実感した」と指摘。「北朝鮮、中国、日本など近い国と協力していく」と述べ、北朝鮮と保健分野で協力していきたい意思を示した。
日本に対しては「過去を直視してこそ傷を克服し、未来に進むことができる」「過去は忘れられないが、われわれは過去に留まることもない」とし、「日本もそんな姿勢を見せてくれることを願う」と呼びかけた。いわゆる元徴用工や慰安婦の問題など、日韓の歴史問題には触れなかった。
式典には例年、数千人規模の市民が参加するが、今年は新型コロナウイルスが拡散し、危機警報が最高レベルの「深刻」に引き上げられたことで規模は大幅に縮小。参加者は100人に満たなかった。場所もソウル市内の女子高の敷地内で行われた。