【北京=三塚聖平】新型コロナウイルスをめぐり、中国全土で最高レベルになっていた警戒度を緩和する動きが広がっている。新たな感染者が確認されなくなった地域で、警戒レベルを引き下げて企業活動の再開を促す狙いがあるためだ。だが、今も感染状況が深刻な湖北省や、重要な政治日程を控える首都・北京では警戒態勢が続いている。
中国では、公衆衛生に関する警戒レベルを1~4級の4段階で管理。新型肺炎の蔓延(まんえん)を受けて31省・自治区・直轄市の全てが最も警戒度の高い「1級」としていたが、2月21日に内陸部の甘粛省が、22日には東北部の遼寧省が「3級」にそれぞれ引き下げた。国営中央テレビ(電子版)によると、27日までに16の省などが緩和に踏み切っている。
国家発展改革委員会は25日、感染拡大のリスクが低い地域について「生産や生活を全面的に復活させる」と強調。新たな感染者が確認されなくなった地域の政府が、制限措置を緩和させて生産再開を促している。
一方で、習近平国家主席は26日の重要会議で「湖北省と武漢市の疾病状況は依然として緊迫している。その他の関係地域でも再発のリスクを軽視できない」と引き締めを図った。武漢で事実上の封鎖措置が続くなど、湖北省では交通面などで厳格な管理が続く。
北京市は当局が警戒を強める。26日には「疾病状況の深刻な地域」からの入国者の管理強化策を表明するなど、防疫措置を厳格化している。北京で開催される全国人民代表大会(全人代)の延期は24日に決まったが、開催するには北京で「新たな感染者が1週間出ないこと」が欠かせないという専門家の見方を中国紙が報じている。北京市当局は、こうした高まるプレッシャーを受けて警戒を強めているとみられる。