千葉県野田市で昨年1月、小学4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=を虐待して死亡させたとして、傷害致死罪などに問われた父親の勇一郎被告(42)の裁判員裁判第7回公判が4日、千葉地裁(前田巌裁判長)であり、弁護側による被告人質問が行われた。主な内容は次の通り。
【心愛さんの誕生】
被告 妻が心愛を妊娠したと分かったときは飛び上がるほどうれしかった。平成20年9月に心愛が生まれ、家族3人での生活は幸せだった。
しかしその生活も2カ月ほどしか続かなかった。私が仕事に行っている間に妻が心愛を連れて実家へ戻ってしまった。何度も実家に通ったが、妻や心愛には会えなかった。3年後の23年10月、離婚が成立した。
【心愛さんとの再会】
被告 28年7月ごろ、妻から連絡があり、再会した。7歳になった心愛はかわいくて、私にそっくりだった。その後、沖縄で3人の生活を始め、妻と再婚した。沖縄にいる間、心愛や妻に暴力を振るったことは一度もない。
【沖縄から野田市へ】
被告 29年6月に次女が生まれてから2週間ほどして、心愛と妻が実家へ帰り、戻ってこなくなった。ある日、心愛が熱を出し、学校から連絡を受けた私が心愛を連れ帰った。心愛は「ばあば(母方の祖母)の家は地獄だから、パパのところへ行きたい」と言っていた。
入院していた次女が7月末に退院し、翌日、次女と心愛を連れて野田市の実家に行った。夜中に次女にミルクをあげていると、寝相の悪い心愛がぶつかり、次女が泣きだした。心愛が「うるさい」と言うので、「次女が泣くのはお姉ちゃんにも原因がある」と注意したが、夜中立たせたり、次女の面倒を見させたりしたことはない。(当時同居していた被告の妹らに話したことは)心愛の嘘だと思う。
【いじめアンケート】
被告 11月7日、心愛が県柏児童相談所に保護された。児相職員から心愛が私にたたかれたり、蹴られたりしたと訴えたと聞いたが、思い当たるところはない。(強いていえば)夜中に布団を掛け直したり、布団からはみ出た心愛を抱きかかえて戻したときに勘違いしたのではないか。
アンケートにある、たたくや蹴るといったことはしていない。なぜ、心愛がそう書いたのか、心愛を傷つけるので言いたくない。
弁護人 あなたは十分、心愛ちゃんを傷つけた。話すべきだ。
被告 心愛がされてもいないのに、嘘を書いたと思う。
【児相での面会】
被告 22日に児相で(一時保護中の)心愛と面会した。心愛は私と妻がいる面会室の入り口ではにかんだような表情で立ち止まった。私が手を差し伸べると、心愛も手を差し出し、私の手を握った。心愛が「パパの手冷たい」と言って、すぐ離した。