【ワシントン=黒瀬悦成】米大統領選の民主党候補指名争いの「ダークホース(穴馬)」とみなされてきたブルームバーグ前ニューヨーク市長(78)は3日の「スーパーチューズデー」で、期待を大幅に下回る惨敗を喫した。
ブルームバーグ氏は昨年11月、他候補に遅れて指名争いに参戦。大富豪である強みを使って政治献金を集めず、4億ドル(約430億円)以上の自己資金を投入して選挙活動を展開した。
また、先月の序盤4州の予備選・党員集会に参加せず、スーパーチューズデーから指名争いに本格参戦。3日に予備選・党員集会が実施された14州などのうち、代議員数が多い西部カリフォルニア(415人)、南部テキサス(228人)やバージニア(99人)を主戦場に位置付けた。
特にカリフォルニア州では広告宣伝費だけで3600万ドルを費やした。バージニア州には、州内8カ所の選挙事務所に計80人以上の運動員を配置し、ローラー作戦を展開した。しかし、同州の結果は4位で代議員は獲得できなかった。カリフォルニア、テキサス両州でも上位に食い込めず、首位だったのは米領サモア(6人)だけだった。
以前から大統領選への意欲が伝えられていたブルームバーグ氏が他候補に遅れる形で指名争いへの参加を決断したのは、昨年春頃の段階で本命視されていたバイデン前副大統領の失速傾向が昨年秋までに顕著になっていたためだ。
ブルームバーグ氏は、バイデン氏と同様の中道穏健派として、同氏に代わって急進左派のサンダース上院議員を抑え、本選でトランプ大統領と「ニューヨークの大富豪対決」に臨むことを思い描いた。
しかし、バイデン氏は2月29日の南部サウスカロライナ州予備選での大勝を機に復活。ブルームバーグ氏が獲得を期待した中道穏健派の票の大半はバイデン氏に流れた。民主党主流派は同氏を候補に推す方向で急速に一本化しつつある。
ブルームバーグ氏は3日、南部フロリダ州での支持者集会で「戦い続ける」と強調したが、今後、党内で同氏への撤退圧力が強まっていくのは確実だ。