千葉県野田市で昨年1月、小学4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=を虐待して死亡させたとして、傷害致死罪などに問われた父親の勇一郎被告(42)の裁判員裁判第9回公判が6日、千葉地裁(前田巌裁判長)であり、検察側と裁判員らによる被告人質問が行われた。主な内容は次の通り。
【死亡前日】
被告 心愛が死亡した前日の昨年1月23日夜、心愛がおもらししたので「なんでこんなことするの。どうするの」と聞くと、「朝まで立っている」と答えたので、朝まで立たせた。
検察官 本当にそう言ったのか。言ったとしても、なぜ心愛さんが自ら「立っている」と言う状況まで追い込まれたのか。
被告 言ったのは事実。そう言わないと私に怒られると思って答えたと思う。
検察官 結局いつまで立たせたのか。妻は翌朝までと証言したが。
被告 夜中です。
【死亡当日】
検察官 24日昼ごろ、浴室で心愛さんに「5秒以内に服を脱げ」と言って、ボウルに入れた水をかけた事件。そもそもなぜ、心愛さんは浴室にいたのか。いつからいたのか。
被告 朝、心愛を起こすと、自ら浴室に行き、昼までいた。
検察官 それでいいと思ったのか。
被告 何回か浴室まで見に行ったが、心愛は浴槽の縁に座って、鼻歌を歌っていたので、このままでいいと思った。
検察官 心愛さんは強い飢餓状態、ストレス状態が原因で亡くなった。亡くなる当日、浴室で腰掛けて鼻歌なんてことがあるか。
被告 本当にあったことなのでお話しした。
【威圧的な態度】
検察官 小学校の先生や野田市教育委員会に対して威圧的な態度をとった。いわゆるモンスターペアレントという自覚はあるか。
被告 心愛に起こったことを知りたいと、わらにもすがる思いで聞いたので、そういう自覚はない。
検察官 心愛さんに起こったことは、あなたが一番分かっていたでしょう。
被告 分からなかった。
【30年7月の動画】
検察官 平成30年7月10日の動画。心愛さんが「じゃあ許せよ。家族に入れろよ」と言うと、あなたは「無理」とふざけて答えた。心愛さんを家族から疎外している。
被告 していない。
裁判員 なぜ「無理」と言ったのか。
被告 当時、心愛にいろいろ聞かれ、いやになってそっけなく答えてしまった。
裁判長 何を聞かれたのか。
被告 いろいろ話しかけてきて、イライラした。
裁判長 子が親に話を聞いてほしいというのは普通だ。なぜうっとうしいと思ったのか。
被告 分かりません。