世界保健機関(WHO)WHOが新型コロナウイルス感染症を「パンデミック(世界的大流行)」と表明したことを、日本政府は冷静に受け止めている。中国全土からの事実上の入国拒否など可能な水際対策は既に実行しており、「政府対応は全く変わらない」(高官)ためで、感染拡大防止に引き続き全力を挙げる考えだ。
安倍晋三首相はWHOの表明から一夜明けた12日、官邸で記者団に「国民の健康や命を守るためにあらゆる手当を講じた」と強調。同時に「これまで以上に国際社会と協力しながら対応を強めていきたい」と述べた。
菅義偉官房長官は記者会見で「世界的な感染の広がりが続いていることへの判断だと受け止めている」と述べ、WHOの表明は欧米各国での急速な感染拡大が根拠になっているとの見方を示した。その上で、今夏の東京五輪・パラリンピックの開催に向け、予定通り準備を進める考えを改めて示した。
厚生労働省の担当者は、「これからも専門家の科学的な知見を踏まえ、対策を進める」と語った。政府は今後も、国内の感染拡大防止の徹底と感染者急増に備えた医療提供体制の強化を図る方針だ。