新型コロナ感染予防、各国の結束不可欠 パンデミック表明


 世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスについて「パンデミック(世界的な大流行)」を表明したのは、診療体制の強化やワクチン開発などの対策をはじめ、感染拡大を防ぐための措置を全ての国に促すためだ。日本を含めた各国は治療法や予防策を一刻も早く確立するとともに、社会や経済の影響を減らすための取り組みが求められる。

 WHOが2009年に行った新型インフルエンザへのパンデミック宣言は世界に混乱をもたらした。不安の高まりから、一部の救急外来に緊急治療の必要がない軽症者が殺到し、救急医療を過度に圧迫した。それでも、ウイルスの感染拡大の影響を緩和するためにWHOは今回、パンデミックの表明を避けられなかった。トランプ米大統領が英国を除く欧州から米国への入国を一定期間、禁止するなど事態は深刻さを増しているからだ。

 ウイルスへの恐怖から混乱を招く「過ち」を繰り返してはならないのはもちろんだが、重要なのは、各国が結束してウイルス感染拡大の阻止に取り組むことだ。東京五輪・パラリンピックの開催も、こうした努力にかかっているといえる。さらに、日本の得意分野とされるワクチンや治療薬の開発で世界をリードすることも望まれる。

 一方で、WHOは感染の発生地である中国に対し、これまでの配慮姿勢を改め、透明性のある感染拡大阻止への協力を迫るべきだといえる。(ロンドン 板東和正)



Source link