東京五輪の聖火がギリシャのオリンピア遺跡で採火された。聖火リレーの第2走者で、日本人として初めてトーチを受け取った2004年アテネ五輪マラソンの金メダリスト、野口みずきさんが大役を終え、思いを語った。
--採火式を終えた気持ちは
「セレモニーが始まった瞬間、『いよいよだな』と思った。国旗が揚がったとき、(胸が)熱くなりました。晴天で良かった。この天気のように、東京五輪を晴れやかな気持ちで迎えたい」
「トーチをもって走っているとき、東京大会への期待を感じた。私は04年のアテネ五輪で金メダルを取ったので、オリンピックの故郷に戻ったような気持ちをかみしめて走った」
--アテネ五輪のときと比べて走っているときの気持ちは
「今回の方が緊張しました。アテネ五輪のときは早く走りたくて、ワクワク感が大きかった。今回はドキドキという感じ。こんな大役はなかなかない。『一生忘れないぞ』と思いながら走りました」
--新型コロナウイルスの感染拡大で心配は
「この採火式も直前まで、どうなるか分からなかった。ギリシャの関係者、日本の組織委員会の尽力で実現し、感激した。世界中、大変なことになっているが、一刻も早く収まってほしい。東京五輪はみんなが楽しみにしている。諦めずに希望をもって、無事に開催されるよう祈っている」
--聖火リレーで何を感じたか
「トーチはとてもきれいで、日本らしい桜の形。復興への気持ちが込められていると思う。私自身、五輪は04年アテネ大会で終わったと思っていた。だが、オリンピアン(五輪の競技者)は子供たちに向けて、つないでいかなければならないと思った。夢と希望をもって、アスリートに最高の舞台に立ってもらえるよう、語り継がなければならない。物語に終わりはない。五輪発祥の地で改めて思った」
--聖火リレーの意義は
「古代オリンピックが開かれている間、一切、戦いはなかったと聞いた。武器を捨て、みんなで競技を楽しむという意味を改めて感じた。トーチは、東日本大震災被災地の仮設住宅のアルミでできたもの。全ての災害から立ち上がり、トーチは希望の光をつないでいくものだと思う。火が付いた瞬間、『これから始まる』と湧き上がるものがあった。採火式が始まらないと何も始まらない。無事に行われて欲しいとトーチを持ちながら思った」